第18回「いいね!働き方コーデのオトナ診断」~宮大工が語る職人の流儀・仕事を残すために変えるべきもの~

更新日:2019/02/14

第18回「いいね!働き方コーデのオトナ診断」歴史と伝統ある文化財を施工する宮大工が語る職人の流儀~古きを伝承して未来を築くために大切なこと~

仕事に価値(メリット)を提供する「Job Merit」のワークコンシェルジュとして働くジョブメリさんが、
イマドキの若者の働き方についてさまざまなタイプの大人から貴重な意見をもらう企画
「いいね!働き方コーデのオトナ診断」。
第18回は日本の寺院など伝統建築を支える宮大工(!)の石黒さんにインタビューした際の話。
伝統を受け継ぐ職人さんの仕事はなくてはならないものですが、時代の変化により仕事は減っていく、、
どうやって自分の仕事を残していくか、ということに頭を悩ませているようです。
一見手に職で安定した「変わらない」仕事をコツコツとやっているイメージの職人仕事。
「伝統を守るだけではいけない」職人が現代に思う仕事観とは?
インターネットサービス会社で派遣社員として働く山田くんにも聞かせてあげたい、
変化しながらも守るべき"仕事の流儀"について伺うことができました。

伝統を継承する宮大工の仕事とは?

ジョブメリさん:
本日はインタビューにお応えいただき、ありがとうございます。
私もさまざまな職種の方と普段からお話ししますが、石黒さんのように伝統芸を受け継ぐ職人さんは初めてです。
失礼のないように対応できればと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
多くの人が「職人」という言葉から気難しいイメージを想像されるかもしれませんが、
そういう人ばかりではないのでご安心ください(笑)。
まあ確かに、仕事に関しては神経をすり減らすほど細かい作業をしていますが、
怖い顔をしているのは現場だけなので!

ジョブメリさん:
ちょっと安心しました(笑)。大工さんの中でも日本の歴史的木造建築物の改修や
メンテナンスを行っている宮大工の方は、本当に職人さんというイメージなので
変なこと聞いたりしたら、怒鳴られたりするかもと思っていました……。

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
確かに昔はそういう人が多かったかもしれません。時代は移り変わっているので、
とっつきやすい職人もいっぱいますよ。中には未だに話しかけにくいような不器用な奴もいますが(笑)。
まあ、日本の伝統を守るという意味では、中途半端な仕事はできないので、
ついつい眉間にしわを寄せてしまいがちにはなってしまいますよね。
ただ、私も歴史的建造物の現場もいくつも経験しましたが、古き良き文化を守っていく
ということは非常に使命感を覚える仕事なのです。

ジョブメリさん:
そうですよね!そうしたイメージがあるからこそ、「ちょっと怖そうだな」
という先入観があったのだと思います。
石黒さんの話からも仕事におけるプライドがすごく垣間見えますね。
なぜ宮大工の仕事をしようと思ったのですか?

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
普通の大工は常に新しい建物を造ったり、今ある建物をキレイにしたりする仕事じゃないですか?
もちろん、宮大工にもそれは通じるところがありますが、私たちの場合はいかに"昔の状態を再現するが"
ということが重要になります。そのためには、きちんと歴史を学び、その建物に合った技法を学ぶ必要があります。それを一口に伝統と呼びますが、古き良きものは意識して伝えていかなければ時が経ったときに
風化してしまうでしょう。私たちにはそうした伝統を残す使命がある。
そうしたカッコ良さに惹かれたのが理由になりますね。

ジョブメリさん:
やっぱり言葉の1つひとつにも重みがありますね!伝統という言葉で表現するのは簡単かもしれませんが、
実際に建造物という形に残し続けることは大変なことですよね。
もしその技術がなくなってしまうと、この世に存在し続けることができなくなることを考えると、
やはり宮大工という職業の重要性を感じます!

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
時代は常に移り変わっていきますが、良いものは残し続けることが大切です。
建物に関しても多くの人は、最新の大型ビルやタワーマンションにばかり目がいきがちだと思います。
確かにそうした技術革新が人間の生活を豊かにすることは間違いありませんが、"伝統の継承は心を豊か"にします。京都などを旅して古い歴史的建造物に驚いたり、その造りに感激したりする方は多いと思いますが、
そうした時間は人の心に趣きをもたらしてくれるのです。

過去を守ることと未来を築くことの両立が重要

ジョブメリさん:
石黒さんの話を聞いていて、感心させられてばかりです!
確かに伝統を知ることは、歴史の重みに触れたような気がして、感銘を受けますよね!
では逆に宮大工をしていて困っていることはありますか?

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
結構、由々しき問題なのですが、宮大工への依頼自体が少なくなってきていることです。
寺院などの新築工事の依頼数の減少にともない、宮大工の需要そのものが少なくなっていると言えます。
たとえば伝統的な木組み工法で新しく建てるケースは本当に稀であり、先ほども少し触れましたが、
新しい建築技法の方が注目を集めているのが現実です。

ジョブメリさん:
そうなんですね。確かに鉄筋コンクリート造や鉄骨造の建物が増え、木造の建物、
特に伝統的な寺院などを新たに建てるという話はほとんど聞かないですね。
私としては伝統をこれからもずっと継承し続けてほしいところですが……。

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
確かに伝統を継承することは大切です。私自身も国宝級の建物の施工にいくつか関わってきましたが、
これからもそうした希少な建物は守り続けなければなりません。
ただし、過去を守ることに加えて、未来を築くことも同様に大切です。
現在の宮大工の職人たちは、寺院などの木造建築が減少している中で、どうやって
この職を未来に引き継いでいくのかを真剣に考えなければなりません。

まあ、それは宮大工だけでなく、どの仕事においてもそうでしょう。
過去の栄光ばかりに捉われるのではなく、未来を見据えて変化していくことも求められます。
伝統ばかりを重んじて、考え方が古臭くなってしまうと、それこそ未来はないような気がします。

ジョブメリさん:
勝手なイメージですが、そうした先々のことを考えていることに驚きました。
確かにどの職種でも未来を見据えて、時代の変化に適応できないと淘汰されてしまいますよね。
私の知り合いでインターネットサービス会社で派遣社員として働いている山田くんという人がいるんですが、
今の仕事を一生続けるつもりはなく、将来に向けて資格の勉強をしています。
時代に合った働き方を、常に模索しているところは彼の良いところだと思っています。

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
新しいことをする若い人たちこそ、そうした未来志向の考え方で良いのではないでしょうか。
私たちは自分たちの技術を守り、伝えるという使命がありますが、山田くんはまず自分が何かを
確立することから始めなければなりません。
それは非常に大変なことですが、やりがいがあることだと思います。

ジョブメリさん:
今はさまざまなことに迷いがまだ見える山田くんですが、将来的には
石黒さんのように自分の仕事を確立してほしいですね。

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
いやいや、私の場合はただ単に伝統技術を受け継いだだけなので、それをこれから将来に
どうつなげていくのかが大切になるでしょうね。
さすがに山田くんとはスタートラインの位置が違いますが、時代に順応すべき職種はわれわれのほうですから。

伝統と革新の融合こそが仕事の本質

ジョブメリさん:
石黒さんは宮大工という職業の未来をだいぶ案じているようですが、
そこまで危機感を募らせている何か理由はあるのでしょうか?

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
私は仕事において重要なのは"価値を残すこと"だと思っています。
おかげさまで宮大工の伝統技術はまだ必要とされており、それは社会に対して
価値を残すことができているという証しだと考えています。
しかし、これから20年、30年となった際に同様に価値を持っているのかが不安ではあります。
特に日本人は新しい物好きですし、少子高齢化を迎える時代において宮大工の価値が
どこまで安泰なのかは気になるところです。

ジョブメリさん:
確かに栄枯盛衰という言葉があるように、栄えるものはいつか衰退してしまうことは、
これまでの歴史が証明してきましたよね。では宮大工としては将来を生き抜くためには
どんな変化が必要だと考えていますか?

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
簡単にまとめると伝統と革新の融合ですかね。特に私たちのように古い時代からの人間の場合、
伝統を大切にしようとするばかりに、時代の変化に気づいていないことが多々あります。
そのため、いつの間にか価値を見出されなくなってしまったりするものです。
だからこそ、革新の考え方必要です。
私なりに調べましたが、今は3Dプリンタによる建築が本格化しているようですね。
こうした技術革新をこれまでの伝統と融合させることができたら、より未来に向けて
価値を残し続けていけるのではないかと思うのですよ。

それは個人においても同じで、山田さんのように現職での経験や知識を磨きつつも、
新たな領域の勉強に励むなどはまさに伝統と革新の融合と同じイメージです。
常に現状に満足せず、新しいことにチャレンジするのが仕事の本質だと私は考えています。

ジョブメリさん:
宮大工の仕事が3Dプリンタなどのテクノロジーで再現できたら、本当にすごいことですよね。
これからの時代を見据えるうえでは、そうした新しい動きがないと職業として生き残ることすら
できないかもしれない、という危機感を各々が抱くこともまた大切だと痛感しました。
その点、山田くんは常に危機感を持っているので大丈夫かとは思いますが、
さらに多くを学んで新しいものを生み出してほしいですね!

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
いろいろな新しい技術が開発されている現代において、どの職種も「今のままで良い」
ということはないと思うんですよね。それは数百年の伝統を誇る宮大工だとしても例外ではありません。
だからこそ、伝統にとらわれるのではなく、伝統をいかに次の世代にバトンを渡していけるのか、
価値を残していけるのかを、全力で考えていかなければならないと思います。

ジョブメリさん:
本日は貴重な話をありがとうございました。
伝統を重んじるからこそ、それを残していくための変革が必要という考えは非常に勉強になりました。
最後に山田くんに対して、社会人の大先輩として何かアドバイスをいただけませんか?

文化財を施工する宮大工・石黒さん:
まずは自分が信じることをやり抜くこと。それが仕事の成功の第一歩ですね。
私も若い時は何度となくにげたくなりましたが、継続して信念を持って頑張ったからこそ
見えてきた景色もあります。山田くんが今後どんな未来を描いていくのかはわかりませんが、
まずはこれだと思ったことをやり抜いてもらいたいです。
私も宮大工として一人前になってから、いろいろなことが見えてきました。
まずは山田くんも、人に誇れる仕事を確立することに注力することをおすすめします。


【今回のまとめ】
・伝統を継承することは大切だが、捉われすぎてはいけない。
・その職種もその時代に合った働き方を見出す必要がある。
・仕事において重要なのは、労働によって価値を残すこと。

【登場人物】
ジョブメリさん:JCSで働くお仕事アドバイザー。

山田くん:23歳、新卒でSIerに就職するもすぐに退職。
     現在は派遣社員としてインターネットサービス会社でアプリのデータ更新の仕事をしている。
     人生に迷いながらも将来を見据えて資格の勉強に励んでいる。

石黒さん:京都で数多くの歴史的建造物の建設に携わった宮大工で、伝統技術の継承者。
     先代から受け継いだ伝統を大切にしながらも、今後の時代を担う革新が必要だと考えている。

お仕事検索はこちら
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