AI に負けないキャリアとは? AI 時代に人間に求められるマルチタスクな仕事~イベントディレクター
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AI時代への不安とキャリアの行方

ChatGPTやGeminiをはじめとする生成AIが急速な進化を見せている中、多くの企業がAIを導入し、業務の効率化を図っています。特に、ルールが明確で、同じ作業を繰り返す業務は、AIが得意とする領域です。事務作業の中でも、毎回同じ手順で進める業務では、システムによる自動化も導入されています。一部では効率化が進み、AI活用による人員削減などが起こっているのも事実です。
下記に挙げたような業務や職種は、一般的にAIやロボット、機械に置き換わりやすいと言われており、今後、自分の仕事がなくなってしまうのではと不安を持つ方もいるでしょう。
それだけに、自らのキャリアを見直し、AIに負けないキャリアを構築していく必要があります。
AIやロボットが進出している業務(例)
一般事務
データ入力や請求書処理、書類整理が中心の事務作業は自動化が進行
コールセンターなどの問い合わせ対応
よくある問い合わせ対応などは、チャットボットや音声AIが主流に
レジ係
セルフレジの導入により、人によるレジ対応は縮小傾向に
受付・フロントスタッフ
施設の受付やチェックイン対応などは、機械によるセルフ化へ
工場作業員
単純作業や反復的な作業は自動化の流れに
AIが苦手な仕事とは

AIには得意な領域がある一方で、苦手な領域もあります。特に、あいまいさを含む領域は苦手とされています。そして、AIの得意領域の中にも「あいまいさ」が生じる場面は多く、「職業」だけで見るのではなく、「人が担う役割」という観点からAIと人の仕事を見直すことが大切です。
「AIが得意な仕事」は本当?
一般的に、AIが苦手な領域とされているのが、感情の機微を読むこと、想定外への対応、状況に応じた利害調整などです。しかし、先に挙げたAIに代替されやすい職業例の中にも、自身の利用経験を振り返って「AI対応では解決しなかった」「人のほうが良かった」と感じたことがある人は多いのではないでしょうか。
例えば、近年はチャットボットによる問い合わせ対応が増えていますが、自身が知りたい内容の答えが用意されておらず、「求めている回答が得られない」「同じ回答に行きついてしまう」といったことがよくあります。トラブルの内容は人によってさまざまで、わずかに事例が異なるだけでも対応方法が変わるため、「よくある回答」では解決しないことも多々あります。
また、回答の文章や口調に苛立ちを覚える人もいるようです。人間であれば、声のトーンや口調、表情、話の間などから相手の状況や感情を察知できます。相手が焦りを感じているようであれば、あえて落ち着いて話すなど、その場に合わせた対応が可能です。現時点では、AIだけでそこまで十分に対応するのは難しいでしょう。
AIが得意とする領域の中にも、「感情の機微を読む」といった人の介在が必要な場面は残されており、千差万別な問い合わせや質問に対して臨機応変な対応が必要であることがわかります。
判断と決定は人の役割
そして、もっとも苦手な部分が、「判断」と「決定」です。AIは現在の状況をデータとして分析し、過去のデータを参考にして解決策を提示することはできますが、最終的な判断や決定を人が担う場面は多くあります。最後に判断を下すのは人であり、その采配が業務を進めるうえで重要な要素となるのです。
目まぐるしく状況が変わり、迅速な判断や行動が求められる職業は、AIでは代替しにくく、人の力が求められる領域と言えます。その代表的な仕事の一つに、多くの人が集まるイベントを取り仕切るイベントディレクターがあります。
イベント運営は「人間が前提」の仕事

老若男女、さまざまな人が集まるイベント。複数回開催されている同じイベントや、マニュアルが豊富なイベントであっても、訪れる人、参加する人、ゲストが異なるため、毎回新たなイベントとして企画・運営が行われます。イベントは、その場にいる人たちがつくっていくものであり、マニュアルに沿って準備・進行すれば必ず成功するものではありません。
イベントディレクターは、そんな毎回形が変わるイベントをディレクションし、イベントが無事に終了するよう運営していく仕事です。突発的な変更やトラブルなどに対し、主催者、協賛企業、会場、出演者、運営事務局など、多数のステークホルダーに配慮しながら調整・進行していかなければなりません。
人が介在するからこそ成り立つ仕事であることから、人の感情の機微を読み取り、周囲や状況を適切に判断して対応策を決定できるスキルを持った人材が要となります。
AIに代替されないイベントディレクターの業務とは

イベントディレクターは、イベントを成功させるために、あらゆる準備や調整を行います。目的達成に向けた指標を整理し、イベント全体を設計した上で、当日までの道筋を立てていきます。
多様な業務の中でも、特にAIでは代替しにくい業務について詳しく解説します。
*参考記事*
働いている人のインタビュー:運営事務局や各種調整など多岐にわたるイベントディレクターの仕事とは
イベントを成功に導くための各種調整
イベントディレクターの大切な業務の中に、関係各所との調整があります。
主催者側の開催目的を明確化し、最大限達成できるように企画し、時には主催者側の内部調整にも協力します。
主催者側の希望や条件と、会場側とのすり合わせも大切です。主催者側の希望を軸にしながらも、円滑に準備が進むよう会場側と交渉したり、妥協案を考えて主催者側に提案したりします。さらに、そこに来賓の希望や都合なども加わってきます。
例えば、当初5名で予定されていた来賓が3名に減ったり、7名に増えたりすることは、実はよくあるケースです。人数が確定しなければ、招待のための航空券も宿泊施設も、イベントの詳細も確定できませんが、確定するのがイベント3日前にならないとわからないという状況もよくあります。そういった不確定要素がある中で、主催者に確認をとり、会場を調整し、次の事態に備えた案を複数用意しながら準備を進めていきます。
そして、とても難しいのが、ステークホルダーたちの関係性の把握です。変更やトラブルが発生した際に、誰に最初に声をかけるのか。変更内容やトラブルの内容によって優先順位は異なるほか、相手とどれだけ関係性を構築できているかによっても変わってきます。この最初の一歩を間違えると、さらに大きな変更やトラブルに発展する可能性があります。それぞれの関係性を見極め、物事が円滑に進むようにしていくのも、イベントディレクターの腕の見せ所です。
一般的なイメージにあるような「企画力」だけでなく、調整力も強く求められており、人の介在が欠かせない領域です。
求められる能力
交渉力
説明力
コミュニケーション力
冷静な判断力
最終的な人員の采配
人の力が重視されるイベント運営ですが、AIやシステムの導入による業務効率化は進んでいます。人員の配置やシフトに関しては、骨組みとなる基本案をAIに頼ることもあるものの、そこから先の細かな采配は、イベントディレクターやイベントスタッフの取りまとめを行う人の出番となります。
例えば、誘導スタッフの配置については、会場内に一定距離ごとに均等に人を配置しても、適切な誘導は行えません。会場が屋内なのか屋外なのかはもちろん、会場の形や出入り口の位置、機材の置き方、死角の有無といった、会場ごとに異なる条件によっても最適な配置は変わります。また、イベントの規模や季節、参加者の属性・特徴などを踏まえた調整や、前日の状況を分析して翌日の配置を変更することなども必要です。
シフトの調整に関しても、直前のキャンセルや欠勤への対応は現場の状況次第となります。場合によっては他の場所から人を移動させたり、急な依頼に対応できる人材を確保しておいたりする必要もあります。また、スタッフ同士のスキルや相性を見て配置を変更していく場合もあります。スタッフの能力や調和などを見ながら適材適所の配置を実現するには、現場でそれぞれのスタッフの働きを見て調整していく必要があります。
「人」でしか対処できない、トラブル対応
イベントで想定されるトラブルには、機材トラブル、配送トラブル、天候による公共交通機関の遅延、演出に関するトラブル、来場者同士のトラブル、コロナやインフルエンザのような感染症に関するものなどがあります。
イベントディレクターは、トラブルの発生を受けた時点で情報を収集し、「誰に、どこまで、どう説明するか」の優先順位を考慮しながら、「今この瞬間に何を止めて、何を続けるか」といった進行についても即断する必要があります。説明の順番を誤ったり、説明の仕方が悪かったり、変更や中止の判断を誤ったりすると、さらにトラブルが大きくなる可能性もあるのです。多くのイベントディレクターは、これまでの経験と現場の状況を見ながら課題を解決しています。
また、トラブル対応や交渉事の場面では、「この人だから大丈夫」といった信頼によって事態が前進することが多くあります。相手の感情の機微を察知し、対応するのは、人同士だからこそ生まれる対応力です。
イベントディレクターに求められるマルチタスク能力

イベントディレクターの仕事には、企画から現場の運営まで多種多様な業務がありますが、その中でも重要なのが、各種調整や現場での判断、トラブルへの対応です。
これらの能力は、情報整理力、関係性の把握力、優先順位判断力、洞察力、感情マネジメント力などが組み合わさって発揮されます。複数の要素を同時に見極めながら、その場で優先順位を判断し、状況の変化を予測し、関係者が動きやすい環境を整えていく力が求められます。
複数の事柄を同時に進めていくマルチタスクな能力が必要であり、AI時代にも価値を発揮しやすいスキルだと言えるでしょう。
イベントディレクターの能力は育成できる
複雑な状況の中で複数の要素を同時に扱い、最適な判断を下す力が必要とされるイベントディレクター。しかし、これらの能力は経験によって鍛えることができるものです。
イベントディレクターは多くの仕事を行いますが、そのすべてを1人で遂行するわけではありません。基本はチームで動きます。サブディレクターやコーディネーターが複数人ついてメインディレクターを補助する場合などもあります。新人のころは、サブディレクターについて現場の作業を手伝ったり、数ある業務の中の一部のディレクションを担ったりと、段階を追って業務の幅を広げていくことができます。
イベント業界で最新のAIに触れ、AIスキルも向上
ここまで、AIでは代替しにくい仕事としてイベントディレクターを紹介してきましたが、実はイベント業界はAIやロボティクスと親和性の高い業界です。
現在、多くのイベントの受付はセルフ化され、スマートフォンや機械を使ったチェックインシステムで入場します。これらのシステムは日進月歩の速さで進化し、次々と新しいサービスが登場しています。それらの入場システムをどのようなものにするのかを考えるのも、イベントディレクターの仕事です。
また、企画や進行台本、シフトのたたき台、マニュアル作成、過去イベントの分析などでもAIは活用されています。業務の幅が広く、膨大な作業を行うイベントディレクターだからこそ、AIを活用して業務を効率化していく必要があるのです。そして、効率化によって生まれた時間を、イベントのブラッシュアップのための思考や、各種関係者との調整、手配に充てていきます。
イベントディレクターだからこそ、AIを活用していくスキルも必要なのです。
イベントディレクターはすべての仕事に共通するスキルが育つ
イベントディレクターに必要とされる判断力や決断力、調整力、対応力、コミュニケーション力、AI活用力などは、育てることができるものです。これらの能力を育て、鍛えていくには現場の経験が非常に重要であり、数多くのイベントが開催されている現在は、経験値を高める機会にも恵まれています。
業務の幅が広いからこそ、さまざまな業界、分野、領域で通用するスキルを身に着けることができます。
まとめ
AI時代に求められる仕事としてイベントディレクターを例に挙げてきましたが、重要なのは「AIに奪われない仕事を探すこと」ではなく、「AIでは代替しきれない役割を担える人」になることです。そうしたAI時代に求められる判断力や調整力が鍛えられるのが、イベントディレクターです。
イベントディレクターとして活躍する人たちは、やりがいや楽しさを感じながら続けている人も多くいます。また、転職するとしても、ここで培った能力は他の業種・職種でも力を発揮できるでしょう。これからキャリアを考えるうえで、「どんなスキルを伸ばすべきか」に迷っている人にこそ、おすすめしたい仕事です。
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