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【保存版】MICE施設のコーディネーター・営業が知っておくべき機材知識の基本

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【保存版】MICE施設のコーディネーター・営業が知っておくべき機材知識の基本

相山 華子(あいやま はなこ)

相山 華子(あいやま はなこ)
1997年慶應義塾大学卒業後、山口放送株式会社(NNN系列)のテレビ報道部記者を経て、2002 年からライターとして活動。各種ウェブメディア、企業広報誌などで主にインタビュー記事を担当するほか、外資系企業の日本語コンテンツ監修も手掛ける。

MICE(マイス)とは、Meeting(企業会議・研修)、Incentive Travel(報奨・研修旅行)、Convention(政府主催会議・学術会議・業界会議)、ExhibitionまたはEvent(展示会・見本市・イベント)の頭4文字から成る造語で、産官学の各組織が、ビジネスや政治、学問的なテーマのもとに開催する、ビジネスイベントの総称です。MICEイベントの成否は、会場となる施設設備や機材によって大きく左右されます。MICE施設やコンベンション施設と呼ばれる、ビジネスイベントの会場となる施設では、コーディネーターや営業と呼ばれる利用者の窓口となる人がいて、ビジネスイベントごとに必要な、設備や機材を手配するなど、万全の準備を行います。今回はMICE施設のコーディネーターや営業が、まずは抑えておきたい設備や機材の基本について解説します。現在、MICE施設のコーディネーターや営業をしている人はもちろん、将来、MICE施設で働く可能性のある方は必ずチェックしておきましょう。

CONTENTS

そもそも「MICE施設」とは?

MICE施設には、「会議場」や「〇〇カンファレンス」、「〇〇フォーラム」、「〇〇ホール」など、さまざまな呼称があります。おおむね100平方メートル以上の広さの貸スペースがあり、国際会議のほかビジネスセミナーや商談会、展示会や学会などのMICEイベントに使われる施設を指します。ホテルの宴会場や公共施設の一部もMICE施設です。

一般的にMICE施設にはコーディネーターや営業が配属されており、会議やイベントの主催者が会場を利用する際の窓口としての役割を担っています。コーディネーターや営業は利用者と打ち合わせを重ねてイベントの内容を理解し、イベントを行うために必要なスペースの確保や調整をし、機材や備品の提案・手配・設置を行います。「機材」とは映像機器や音響機器、照明機器や配信機器などを指し、機材以外の物品(椅子や机など)は「備品」と呼ばれます。

各MICE施設には「テクニカルスタッフ」と呼ばれる、機材・設備専門のスタッフがいるため、コーディネーターや営業が必ずしも備品や設備について専門家並みの知識や技術を身に付ける必要はありません。しかし、コーディネーターや営業は利用者の窓口となって直接質問や相談を受ける立場にあるため、備品や設備についての基本的な知識は身に付けておいたほうがよいでしょう。利用者からのよくある質問に迅速に回答したり、利用者が希望する演出が技術的に実現可能かどうかを判断し、より良い提案するためにも、最低限の情報はすぐに提供できるように準備しておきましょう。

機材の基本「映像」編

プロジェクター


発表資料やイベントのイメージ映像をスクリーンに投影するためのプロジェクターは、会議やイベントの必須アイテムの一つ。大きく分けると、社内会議室などでよく使用される小型プロジェクターと、国際会議やカンファレンスなどで使われる中~大型の業務用プロジェクターがあります。小型プロジェクターと中~大型の業務用プロジェクターのもっとも大きな違いは、投影する映像の明るさです。明るさは「ルーメン」という単位で表し、数値が大きく明るいほど、より遠くからより大きく映像を投影することができます。映像技術の進展に伴い、近年はより明るいプロジェクターが求められる傾向が高まっており、2024年現在、中~大型のプロジェクターには6,000ルーメン以上の明るさのものが多いようです。

<参考>なぜ、プロジェクターの明るさや投影距離が重視されるの?

参加者にわかりやすく発信内容を理解してもらうため、映像の視認性やクオリティが重要です。特にビジネスセミナーでは、見やすさや見栄えを重視してより大きなスクリーンにより大きな映像を投影したいという希望が多く寄せられます。そのため、より明るいプロジェクターや、より大きく映像を映すための「投影距離」(プロジェクターからスクリーンまでの距離)を十分確保できることが求められます。

【小型プロジェクター】


◎メリット:移動が簡単、価格が抑えられる。


▲デメリット:投影距離が短い。客席の前方あるいはステージ上にプロジェクターを設置するため、見栄えよりもコストを優先する際に利用される。
また、前方の客席を減らしてプロジェクターの設置スペースを設ける場合、収容客数が減る。
適した用途:円卓やコの字型のレイアウトで行う少人数の会議、100平方メートル以下の小さな会議室での利用。

【中~大型プロジェクター】


◎メリット:明るくクリアに投影できる。


▲デメリット:客席後方から映像を投影する場合は、消防法で定められている通路幅や安全確保に必要なスペースを考慮して設置しなくてはならない。ただし、映写室がある場合や天吊りタイプのプロジェクターの場合は、スペースの心配は不要。
適した用途:映像を大きく、見やすく投影したい場合。
100平方メートルを超える会場でのセミナー、ビジネスイベントなど。

【超短焦点プロジェクター】


◎メリット:スクリーンのほぼ真下に設置して映像を投影でき、スペースを有効に活用できる。


▲デメリット:スクリーンのほぼ真下から映すため、画角を無理に大きくすると映像が台形になる。また、正面から投影する場合には気づかないスクリーンの「しわ」が目立つことがあるなど、正面から投影する場合に比べて細かい配慮が必要になる。
適した用途:スペースを有効に使いたい場合。ステージ上にプロジェクターを置けるレイアウトの場合など。

スクリーン


近年は、映像技術の進展に伴って、より明るく・より大きく映像を投影できるプロジェクターが登場し、スクリーンの大型化も進んでいます。ただし、プロジェクターの設置位置や投影角度、ステージ上で人が立つ位置、ステージ上に設置する看板の大きさなどによっては、スクリーンに人の影が映ってしまったり、実際に映像が投影できる大きさが変わることもあるため、すべての会場で大型のスクリーンが使えるわけではありません。


一般的なスクリーンは縦横の長さの比が16:9または、4:3です。最近ではパワーポイントの発表資料なども16:9が主流ですが、4:3を使うこともあります。スクリーンの大きさは、対角線の長さで表示するため、同じ200インチのスクリーンでも16:9と4:3では横幅、高さが下記の通り異なります。

  • 200インチ 16:9スクリーン W4,427mm、H2,490mm

  • 200インチ 4:3スクリーン  W4,064mm、 H3,048mm

映像を出力するデバイス(PC等)


プロジェクターから投影する映像は、PCから出力することがほとんどです。PCとプロジェクターを接続するケーブルの端子には、D-sub、HDMI、Mini HDMIなどがあります。

【D-sub】


パソコンとその周辺機器に使われる、映像信号の入出力・伝送用のコネクター(アナログ接続)です。最近ではHDMIコネクターがついたパソコンが多いものの、まだD-subも広く使われています。D-subは映像信号を送るコネクターのため、映像に音声が付いている場合は、別途音声ケーブルが必要です。

【HDMI】


パソコンやデジタル家電に使用される、映像信号と音声信号、操作信号を入出力できるコネクターです。映像と音声を1本のケーブルで送ることができます。デジタル伝送のため、映像劣化が少ないと言われています。

【ミニHDMI】


HDMIを小型化したもの。タブレットや薄型PC、ビデオカメラなどに使用されています。こちらも映像と音声を1本のケーブルで送ることができます。小型でデメリットも少なく便利なためカメラなどに搭載されることが多いですが、対応機種は少ない傾向にあります。

【セレクター・スイッチャー】


複数のPCや映像出力機材から映像を映す場合に、出力機を切り替えるために使う機材です。セレクターを使わず、プロジェクターと接続するケーブルを差し替えて出力機を変えることはできますが、そのような「抜き差し」を行うと、ケーブルがどの出力機にもつながっていない間は、スクリーンに何も映らない状態となってしまいます。そのため、映像が途切れるのを避けるために、あらかじめ複数台の出力機をセレクターにつないでおき、プロジェクターに送る出力機をセレクターのスイッチで切り替えます。誰でも操作できる簡易なものから、映像オペレーターが使用する高度な性能のものまであり、接続できる出力機の台数や機能、価格もさまざまです。高度なものほど、映像の切り替えがスムーズで、接続できる出力機の数が多く設定されています。

機材の基本「音響」編

マイク


有線マイクとワイヤレスマイクに大別されます。セミナーなどでステージ上を動きながら話したい演者に好まれるピンマイクやヘッドセットも、ワイヤレスマイクの一種です。ワイヤレスマイクでは音声を送受信する方法にも、いくつか種類があります。どのマイクが良いかは、用途や録音の有無を考慮して決めることをおすすめします。

【有線マイク】


◎メリット:音質が良い。混線や受信障害の心配がない。


▲デメリット:ケーブルがあるため、動きが制限される。

【ワイヤレスマイク】


◎メリット:ケーブルがないため、自由に動き回ることができる。


▲デメリット:有線マイクに比べ音質が劣る場合がある。使用できる本数は、使用できる帯域の数によって異なる。

ワイヤレスマイクは使用している周波数帯域により、A帯・B帯・C帯・2.4GHz帯に分類されます。
このうち、MICE施設などのマイクで使用されるのは、A帯・B帯です。その他に、電波ではなく赤外線で音声を送る赤外線ワイヤレスマイクもあります。MICE施設で常設しているワイヤレスマイクの種類やその特質を理解し、利用者の用途によっては別途機材の手配や持込を提案することも必要です。常設のワイヤレスマイクの種類が「赤外線ワイヤレスマイク」の会場で、録音がある場合は有線マイクの使用を勧めましょう。また、社内の慰労会などで社員のバンド演奏がある場合は、赤外線ワイヤレスマイクではなく、別途外部機材を用意することを提案すると喜ばれるでしょう。

それぞれの特徴は以下のとおりです。

【A帯】

業務用に使用される高品質のワイヤレスマイク。「特定ラジオマイク」とも呼ばれ、使用するためには総務省の無線局免許と一般社団法人特定ラジオマイク運用調整機構への届け出が必要です。誰でも使用できるものではないため、混線する可能性は低くなります。以前は770-806MHz帯域を使用していましたが、電波法の改正に伴い、現在はホワイトスペース帯(470-714MHz)、710-714MHz、1.2GHzに移行しています。

【B帯】

免許が不要な帯域の中でも特に品質が高いため、よく使われるタイプです。ただし、A帯と比較すると混線のおそれが高いため、使用にあたっては周囲のマイク使用状況を確認して、混線のリスクがないことを確かめる必要があります。特にビルの中や、近くにホテルの宴会場がある場合は、混線のリスクに注意しましょう。

【C帯】

免許は不要ですが、音質はA帯、B帯に比べると劣ります。主に通訳ガイドシステムやインカムなどで使用されます。

【2.4GHz帯】

免許不要で高品質ですが、Wi-FiやBluetoothと同じ帯域を使用しているため、これらが使用されている環境では混線により音が途切れる可能性があることに注意が必要です。また、受信機と送信機の間に遮断物があると音声が途切れるため、使用できるのは遮断物のない見通しの良い場所のみです。

【赤外線方式】

電波ではなく、赤外線で音声を送受信するワイヤレスマイクです。壁や扉などの遮断物を透過しないため、混線の心配がなく、また秘匿性に優れていることから、会議室などでよく使用されます。遮断されると音が途切れるため、使用にあたっては、送信機や受信機を手や衣服で覆わないように注意してください。電波式のワイヤレスマイクと比較すると音質が落ちるため、録音する際にはそのリスクを理解して使用する必要があります。

スピーカー

MICE施設の多くは、演者の声の拡声や、BGMを流すことを想定した機材を常設しています。ただし、コンサートや音楽の演奏など音質が重視される場合や、迫力ある重低音での演出を求められる場合は、別途機材を手配する必要があります。

機材の基本「照明」編

照明演出次第で、会場の雰囲気はがらりと変わります。利用者が求める照明演出を実現するには、会場の常設照明や照明機材では足りないことも珍しくなく、その場合は外部の照明機材を手配したり利用者に持ち込みを勧めたりして対応します。ただし、外部機材を使用する場合は、会場で使用できる電気容量内におさまるよう注意が必要です。最近はLED照明が普及しているため、以前に比べて電気容量の問題は少なくなりましたが、トラブルを避けるために確認しましょう。

【客電】 


ステージに対し、客席側の照明を指します。

【地明かり】


ステージ全体を均等に照らす明かりです。

【サス】


ステージの上から吊るして下を照らすタイプの照明「サスペンション・ライト」の略称。ステージ全体は暗くして、演者だけを照らす場合などに使用します。

【ピンスポ】


客席後方や横からステージ上の人物の動きに合わせて照らす照明。ほかのスポットライトより明るく、輪郭がはっきりしているのが特徴です。

【アッパーホリ、ローホリ】


ステージの最後方に設置した幕または壁を「ホリゾント」と呼び、それを上から照らすのが「アッパー・ホリゾントライト(アッパーホリ)」、下から照らすのが「ロアー・ホリゾントライト(ローホリ)」です。天井から照明を吊るす舞台装置がなくても設置できるローホリは、外部機材で照明演出を行うときによく使われます。

機材の基本「配信」編

インターネット回線


セミナーなどのイベントを生配信することも日常的になった今の時代、インターネット回線は施設に不可欠な設備です。「USEN GATE02 プレミアインターネット」や「NUROアクセス」など、高速かつ安定したインターネット回線を備えた会場も一般的になりました。

専用回線


配信イベントの普及に伴って増えたのが、「専用回線」の要望です。回線混雑により通信速度が落ちるリスクを避けるためのご要望ですが、「専用回線」は以下のようにいろいろな意味で使用されるので混同しないように注意する必要があります。

・他者がまったく利用しない専有回線

・複合ビルなどで、他のフロアの会社などが利用しない施設の専用回線

・複数ホールや会議室がある施設内で、他の部屋の利用者が利用しない部屋ごとの専用回線

部屋ごとの専用回線がない施設でも、他の利用者がいなければ「専有」の状態になります。「専用回線」が必要な理由や施設の回線利用状況などを総合的に考慮し、会場の常設の回線を使用するか、別途回線を用意するかを検討しましょう。

別途回線を用意する必要がある場合は、NTTに臨時回線を申し込みます。NTTの臨時回線は申し込んでから利用できるまでに10日~2週間以上かかるため、利用が決まったらできるだけ早めに申込む必要があります。

その他の注意事項

施設の電気


会議施設では多くの機材を使用するため、電気容量には注意が必要です。同一回路になっているコンセントの位置や数、回路ごとの電気容量、施設全体の電気容量、電源盤の位置や容量などは、頭に入れておくようにしてください。

施設のスペック


会場の広さ、天井の高さ、設置できる席数、ステージの広さなど、机や椅子の幅などは、利用者によく聞かれる数字です。会場のものの大きさは、㎜であらわします。天井高が4メートルであれば、「天高は4000」、幅180センチの机の幅は「1800」とし単位を省略するのが一般的です。会場図面も㎜単位で表記されます。

多くの人に利用される施設を目指そう

MICE施設のコーディネーター、営業は、機材について専門家レベルの知識は必要ありませんが、利用者の窓口となり、利用者がやりたいことを伺って実現するために最低限の知識は必要です。利用者の中には、イベント運営会社の方や、映像・音響・照明の専門家など、機材や設備に関する知識を持っている方も少なくありません。その方々の話を理解して対応できると、やり取りが円滑に進み、施設の信用にもつながります。次々に新しい機材が発売され、業界標準が変わることも珍しくありませんが、日々の情報収集に努め、多くの人に利用されるMICE施設を目指しましょう。

まとめ

  1. MICE施設のコーディネーター、営業は、機材について専門家レベルの知識は必要ないが、利用者の要望を理解して、より良い方法を提案するために最低限の知識は必要。

  2. 機材は、映像機材・音響機材・照明機材に大別され、最近は配信機材も使われることが多い。

  3. 新しい機材が発売され、技術の進歩で業界標準も変わることも珍しくないため、常に情報収集に努める心がけも大切。

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